人類の飲料水確保の歴史


人類の飲料水確保の歴史
現代の日本では蛇口をひねれば綺麗な水が出てきます。さらにお店や自動販売機では必ずと言っていいほど、ミネラルウォーターが販売されています。最近ではウォーターサーバーを設置する家庭も増えてきており、安全な飲水はより簡単に手に入る時代となりました。日本は国土を海に囲まれ、山の多い、資源に富んだ国です。そのため、他国と比較すると水質にも恵まれています。しかし、自然豊かな日本でもかつて「水を確保する」ということは大変な重労働でした。昔の日本人はどのようにして飲料水を確保していたのか、さらにヨーロッパの水道文化はどのようにして発展していったのか、という点も合わせて解説していきます。

大地の恵み「水」

先進国の日本に住んでいると、水を飲むことやお風呂に入ることなどに使用する「水」の存在を当然と思ってしまうことがあります。しかし水は自然の産物であり、限りのあるものです。現実的な問題として、発展途上国に住む人々はこの瞬間も水不足に苦しんでいます。水の大切さを再確認するために、まず「飲料水確保の歴史」から学んでいきましょう。

一日がかりの重労働

古代から水の確保は生命に関わるということは、学習するまでもなく理解されていました。水分確保が容易でなかった古代、水分枯渇のために命を落とすことは珍しくありませんでした。冒頭でも記述した通り、日本は比較的風土に恵まれた土地であるため、環境そのものは古代から整っていたといえます。
科学文明が発達していなかった古代人にとって、山間に溢れている湧水や清流は飲料水として重宝されていました。当時の人々は「水をどう手に入れるか」ではなく「どこに水があるか」ということの探索から始めていました。居住区の近くに小川や湧水があれば問題ありませんが、必ずしもそうした地域に住めるとは限りません。居住区から離れたところに水があった場合には、水を確保するために何十キロも歩き、その場所を探し、そしてそこから水を汲み、また同じ時間と距離を歩いて帰っていたのです。現代人の私たちには考えられないですが、当時、水を使うということはそれだけ苦労を必要とする行為でした。

下水道の誕生

飲料水の確保については湧水を汲み貯める、井戸を使用するなど多く方法がありますが、意外に歴史が長いものが下水道です。下水道というと汚い水を処理するためだけのものと考えがちですが、実際は全ての水の原点となっている大きな存在です。現在、飲料水を確保するという点においてはそれを専門としている上水道が主とされています。そして、お風呂のお湯などに使用されている中水道があります。上水道よりも中水道のほうが浄化能力は高いです。
しかし、下水道も一部ではありますが、飲料用に処理されています。下水道の原型は排水溝の役割を担っており、メソポタミア文明期には開発されていたといいます。日本においての下水道の起源は1583年の大阪城築城時と、かなり後にできたことにはなりますが、それでも下水道の活用は皆さんの予想よりも早かったのではないでしょうか。

ヨーロッパにおける水道文化の発展

日本で初めて水道が生まれたのは今から500年以上前、戦国時代のことです。神奈川県の小田原城下に飲料用として引かれた「小田原早上水」が最古の水道といわれています。
一方、世界で初めて水道が建設されたのはなんと約2300年も前のこと。古代ローマで都市の水不足を解消するために、山の水源地から直接水を引くための水道橋が建設されました。水道の発明が早かったヨーロッパの水質や水道の発展の歴史を解説いたします。

多くの人が集まり、都市が造られるようになると、生活や産業で大量の水を安定的かつ効率的に供給する必要が出てきました。そこで、都市から少し離れた湖や川の上流から、トンネルなどの水路をつくって都市まで水を引いてくるようにしたのが、水道の起源です。

出典:ウォーターサーバー比較@ランキング

硬水と軟水

日本は軟水、ヨーロッパなど外国では硬水が主な水質です。では皆さんは具体的な硬水と軟水の違いはご存知でしょうか。水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」といいます。簡単にいうと、カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれる水が硬水になります。
なぜこのように水質に違いが出るのでしょうか。それは、大地を形成する地殻物質の違いにあります。日本などの島国は面積も狭く、川も傾斜が急な地域が多いため、地層に浸透する時間が短いです。そのため、ミネラル分を多く含む硬水にはならないことが多いです。しかしヨーロッパや北米などの大陸は石灰地質であり、地下水は広大な大地を時間をかけて流れるため、地層に浸透する時間も長くなり硬水になりやすいと考えられています。ヨーロッパの水道水を飲む機会はあまり無いかもしれませんが、例えばフランスのミ有名なネラルウォーターであるエビアン(evian)は硬度304mg/lの硬水です。
逆に日本のミネラルウォーターやウォーターサーバーのお水はほとんどが軟水であり、飲み比べてみると口当たりや味そのものもはっきりと違いがわかることでしょう。(成分表示がラベルに硬度が記載されているので、見てみてください。)

水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」といいます。簡単にいうと、カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれる水が硬水になります。東京の水道水の硬度は60mg/l前後で軟水に、エビアンの硬度は304mg/lなので硬水になります。また、一般的には、硬度0~100mg/lを軟水、101~300mg/lを中硬水、301mg/l以上を硬水に分けられます。

出典:エヴィアン

各国の水道登場時期

先ほど世界最古の水道は古代ローマであることはご紹介いたしました。
その次に登場する主な都市はフランスのパリです。13世紀、大都市となったパリは、湧水や井戸水を木管で水汲み場まで導水する工事を行い、市民は水汲み場まで来て生活用水を自宅までバケツで運ぶという方式をとっていました。パリの人口は約10万人、給水量は約50万L/日で、一人当たりの給水量は5Lと少ない量を公平に給水するため、決められた曜日、時間に導水する方式が取られました。
そして近郊都市であるロンドンやドイツにも同じように水道文化が誕生します。ロンドンは、丘陵の湧水を市内まで鉛管で導水しました。ロンドンの水事情は、パリよりは良かったようですが、パリと同じように水運び屋が繁盛していたようです。

おわりに

人間が誕生したときから続いている水の歴史。今回は私たちにとって最も重要な飲料用の水に焦点を当てて解説いたしました。
現在の日本ではまずそのようなことはありませんが、世界規模に視野を広げると現在でも何十キロと歩いて水を確保している人々がいます。恵まれている環境であることに感謝し、まずは蛇口をしっかりしめて節水を心がけるなど、自分たちのできる環境保護に努めていきたいですね。

水と生活の歴史

水と生活の歴史

人類有史の頃から水に関する記録は様々な文明で遺されてきました。今日、私たちは労することなく水を飲み、生活はもちろんのこと大量生産のため水を使いますが、これまで培ってきた先人たちの歴史に触れ、普段使っている水がかけがえないものであることを知るためにこのサイトを制作しました。