「治水」とはどういったものなの?


東京と地盤沈下の歴史
昔から川の近くで生活をしていた人達は、洪水や氾濫といった水害と戦ってきました。水害を防ぐ技術のことを「治水」とよびます。古来から人々は知恵を絞って治水を行い、農耕などに役立ててきました。では、どういった活動が「治水」にあたるのでしょうか。今回は治水について説明します。

水災害の3つの概念

治水とは主に洪水、高潮、浸水などの水害だけでなく、地すべりやがけ崩れといった土砂災害から生活を守る事業全般のことを指します。治水には水災害(水害と土砂災害の総称)に対して、次のような3つの基礎概念があります。

被害ポテンシャル

水災害によって被害を受ける人や建物といった対象の量と被害金額を指します。例えば、洪水時に河川が氾濫する範囲に住宅地が作られた場合は被害ポテンシャルが高いといえます。

外力規模

水によって発生する、人間の生活圏に対して与える影響の大きさを指します。雨量、河川流量、水位などを元にして指標がつくられます。

治水容量

河川や遊水池の流下能力や収容能力を指します。
これらの3つのうち、外力規模は人間ではどうにもできない面が多いので、被害ポテンシャルと治水量のどちらか、あるいは両方を調整することが治水になります。

治水の概念

ではそれぞれの治水を紹介します。

被害ポテンシャルの調整

被害ポテンシャルを減少させるためには、水災害の被害に合う人やモノの数を減らす必要があります。つまり、被害ポテンシャルの減少には水災害が多発する地域に住まないことが最もシンプルな答えになります。
しかし、実際には愛着のある地域に暮らしたい人や、予想を超える大規模な洪水が起きて水災害に多くの人が見舞われることがあるので、水災害に対する情報の伝達や日頃からの水災害への注意と備えなども重要になるといえます。

治水容量の調整

治水容量の調整は主に建築物が対象になります。堤防やダムの建設が治水容量の増加の例といえます。昔は最大流量や水位が治水量の目安でしたが、最近は「どの規模の水害がどれくらいの頻度で発生するか」という確率洪水も基準になっています。大規模な洪水がいくつかあったため、そういったケースにも対応できるように、諸外国では100年や1,000年に1度の大規模な洪水にも対応できるように治水容量は工場されています。日本では30年に1度の規模が主に目標となっていますが、その目標にも届いていないところも多いため対応が急がれています。

総合的な治水

前述の被害ポテンシャルと治水容量をバランスよく組み合わせた治水事業を「総合的な治水対策」といいます。
この総合的な治水対策はさらに3種類にわかれます。

  • 総合治水対策

被害ポテンシャルの調整や、貯水機能などを強化など、外力規模の調整を進めていく治水対策のことです。地下に河川を作るなどが具体例として挙げられます。

  • 超過洪水対策

規模に限界のない洪水に対してある程度の危険を想定し、あらかじめ対策を行うこと。例えば、想定した洪水よりも大規模な洪水が起こった際に、スーパー堤防や洪水の被害にあう可能性の高い地域の利用に制限をかけるなどが該当します。

  • 流域治水対策

河川の洪水が起こりやすい箇所だけでなく、河川の流域全体で対策する方法です。上記2つの対策を組み合わせた治水対策ともいえます。

治水事業の今後の課題

治水事業は、近年になって多発している「都市水害」への対応が重要であるといわれています。都市水害の原因は主に水害の危険性が高い地域の都市化が進んでいったことに起因します。その結果、大雨が降った際に下水管や雨水管で処理できる水量を超えた場合や、近くの河川が大規模な増水をした場合に都市で洪水が起きるようになりました。対策としては地下河川の建設や都市河川の環境復元などが挙げられますが、今後も増加するとみられているので注意が必要です。

おわりに

今回は治水の基礎的な説明をしました。治水容量の増加はダムの建設などができますが、被害ポテンシャル軽減はそう簡単にはいきません。被害ポテンシャルを積極的に軽減するためにも日頃から私達自身が情報を手に入れるようにしましょう。

水と生活の歴史

水と生活の歴史

人類有史の頃から水に関する記録は様々な文明で遺されてきました。今日、私たちは労することなく水を飲み、生活はもちろんのこと大量生産のため水を使いますが、これまで培ってきた先人たちの歴史に触れ、普段使っている水がかけがえないものであることを知るためにこのサイトを制作しました。